Monday, January 28, 2013

PERMについて

雇用ベースのグリーンカードプロセスを始めると、まず直面するのがPERM。PERMとは、簡単に言うと労働局からの労働認定のプロセスに当たります。

前回の項目で触れたように、労働局が定めた規定に沿って求人プロセスを会社側がしなくてはいけません。
求人プロセスとはザッとあげると以下のようなものになります。
1)州が定めた機関への求人掲載
2)出版物、新聞等への2週続けての掲載、2社以上の記載が好ましいとされています。さらに付け加えるならば大きな媒体が好まれます。例えば地方の小さな新聞よりはNew York Timesなど沢山の人の目に触れるもの。
3)会社の休憩エリアやカフェテリアのような、みんなが見れるように求人の張り紙も一定の期間掲載しないといけません。
などなど、細かい事をあげるとかなり沢山あります。

人によって捉え方が違うかもしれませんが、僕の場合は以下のように認識をしていました。H-1bの場合は特殊技能がある事を証明するのに対し、PERMに関しては”応募したポジションにおいて外国人を雇っても、アメリカ国籍を有するかたに害が出ないかどうか”です。発想自体が違ってきますので、アプローチの仕方も当然変わってきます。

昔は外国語を話せる等という事を記載して差別化を図った例をよく聞きましたが、現在の状況を見てみると、求人の詳細に外国語を話せるなどと記載していたら、ほぼ間違いなくAuditの対象になると考えていいでしょう。下手をするとDrivers Licenseと記載していただけでもAuditの対象になる事すらあります。アメリカ国内の失業率が高くなるにつれてPERMのAuditは厳しくなる傾向にあります。

現在では40-50%のPERMにAuditが入ると言われています。そのうち半数がApproveされ、1/4が却下、1/4が労働局による求人プロセスのSuperviseになります。ひとたびAuditが入ってしまうとAuditを返信してから早くて半年、時には2年待たされる場合もあります。時にAuditのことを労働局からのチャレンジと表現をしている方を見かけます。まさに、的確に状況を説明している表現だと僕自身は思っています。

時に労働局は理不尽なまでにプロセスの証拠を求めてきます。一つ例を挙げると、
労働局が求人プロセス中の電話の記録を求めて来たとします。携帯電話で会社の業務を行っている会社の方には通話履歴を見る事は簡単な作業です。ですが、ほとんどの会社が電話のかけ放題、インターネットの使い放題などのプランに加入しているのではないのでしょうか?そういったプランに加入している場合は、国内通話の記録を取り出すのは非常に困難になります。電話会社がプランの形式上、記録を保管していない場合が多いからです。仮に保管していた場合でも、それを閲覧するのはかなり困難になります。最終的な手段としては裁判所から閲覧許可を発行していただき、電話会社にお願いする場合もありますが、電話会社としても記録していない情報を引き出す事は困難ですので、”探す努力はするが、取り出せる確証があるかどうかは判りません”という返事が返ってくるのが落ちです。実際、僕の場合がそうでした。日本ではスムースにいくことも、アメリカで上に記載したような要求を大きな会社にした場合、1-2ヶ月かかる場合もあります。そうしているうちに、PERM Auditの返信期限が来てしまうというのが現実です。

PERMのAuditは入らないにこした事はありませが、僕個人の印象だけで言うなら、万が一Auditが入っても焦らず対処し、後は祈るのみ。一番避けたいのは労働局による求人プロセスのSuperviseです。これになると、時間が果てしなくかかりますので、そのまま続けるのか他の方法で行くのかは弁護士と要相談です。

僕は一番始めのPERMプロセスのときにAuditが入り、却下された経験を持ちます。
当然、お金も時間も無駄になるのですが、PERMが却下されたとしても、唯一の救いは会社が行った求人プロセスに問題があったという事です。僕本人に問題があり却下された訳ではありません。また、会社の経済状況が判断基準になったわけではありません。判断の基準は、あくまで規定に沿った求人プロセスだったかどうかという事です。ですので、極端な話、何回でもチャレンジできる訳です。ですので、万が一却下された場合も落ち込まず次を見据えてすぐに行動に移す事をお勧めします。実際、僕の場合は却下されたのが2011年6月、2011年8月には新しい弁護士に寄るプロセスを開始していました。

参考までにですが、2013年1月の時点で様々なサイトを見た結果、僕が考える期間は以下のようになります。
1)PERMが問題なく許可される場合2-3ヶ月
2)Auditが入った場合、返信してから6ヶ月から1年
3)Superviseが入った場合はそれ以上になるでしょう。1年から2年と考えて差し支えないと思います。

次回は弁護士を選ぶ際の参考として、それぞれの弁護士がどのようにPERMに対して対応して行くのか突っ込んだ質問が出来るように、ポイントを軽くまとめてみたいと思います。




Saturday, January 12, 2013

全体の流れ

今回は雇用ベースでグリンカード申請をするうえでの、全体の流れを説明したいと思います。ざっと、流れだけを見ていくと以下のようになります。

1)職務、職務資格等の検討
2)労働省へ平均給料調査依頼(National Prevailing Wage)
3)労働局のサイトにてPERMアカウントを開設
4)求人広告開始
5)応募者への対応
6)PERMの申請
7)I-140 (Immigrant Petition for Alien Workerの申請
8)I-485 (Adjustment of Status)もしくはConsular Process

大まかに説明をする場合は(1)-(6)をファーストステップ(PERMの申請)として、(7)をセカンドステップ、(8)をサードステップと考える場合が判りやすいかと思います。

僕が始めにお願いした弁護士は(1)の段階でいろいろな理由をあげ、National Prevailing Wageがでるまでに、4ヶ月くらいがかかってしまいました。彼はストーリーを入念に組み立てる必要があり、将来的なプランをしっかりたてなければ、簡単にスタートできないし、申請するプランを慎重に考えるべきだと主張していました。その当時はもっともに聞こえますし、今書いていても、スジの通った理由な気もします。が、、、実際のところは僕のようなケースをあまり扱った事がなく、調べていただけなのではと疑っています。その辺りの詳細も後述して行きます。

普通に、ちゃんとやってくれる弁護士を選んだ場合、1)と2)のプロセスはだいたい1ヶ月から2ヶ月で終了します。(混み具合により長くかかる場合もありますし、突然今までとは違う高額なPrevailing Wageが出てくる事もあり、そういった場合は弁護士との相談や調整が必要になってくると思います。)

その後に、広告のプロセスをします。弁護士にってやり方は違いますが、広告を出す事を専門的に扱っている業者が存在しますので、今回はそこを通しました。ちなみに、求人方法は労働局の方からかなり細かく指定されています。そこがちゃんと出来ていないとPERMが却下される一番の原因にもなるので、弁護士に任せっきりにせずしっかりと自分でも調べる事をお勧めします。

実際に僕が出した広告はNew York Times (Sunday Times)2週、New York Post (Saturday or Sunday)2週。そのほかにも規則に沿い、求人広告をだしています。このプロセスが終了するまでに、単純に計算し弁護士に相談をしてから3ヶ月くらいはかかっています。

また、求人が終了したからといってすぐにPERMをファイルできる訳ではなく最低でも30日間待たなくてはいけませんでした。労働局から60日の求人期間が定められているため、新聞等の広告は1ヶ月で終了するけれども、残りの30日求人が来ないか待つという事だと思います。

その後、やっとPERMの提出になります。ここで提出した日にちが自分のPriority Dateになります。これはI-485のプロセスの時に影響してきます。この時点で話をしに行ってから順調に行った場合で4ヶ月かかっている事になります。

PERMのプロセスは人によって本当に違ってくるので何とも言えませんが、早ければ2ヶ月で許可が出る方もいます。また、Auditが入る方もいますので、ひとたびAuditが入ってしまうとAuditを返信してから早くて半年、時には2年待たされる場合もあります。

次にI-140の提出です。現在は1-3ヶ月くらいかかっているのではないでしょうか。
色々な事情で早く結果を知る必要がある人のためPremiumサービスもあります。Premiumを利用した場合は14日以内に返信があります。僕の場合は運良く、Premiumを使用しないのにも関わらず、10日で結果が出ました。I-140をザックリ説明すると、会社側がPrevailing Wageを払う能力があるかという審査になります。単純に考えればPrevailing Wageが低い方が会社への負担は減りますし、高ければ当然の事ながら負担は増えます。ここで、勘違いしてはいけないのが、Prevailing Wageで出た給料が保証されているという訳ではありません。
会社の業績、売り上げ等を検討した後、払う能力があるかという事だけです。

最後のプロセスはI-485 (Adjustment of Status)もしくはConsular Processになります。
I-485の場合はアメリカ国内で自分のビザのステータスをGreen Cardに変更するプロセス。
Consular Processは自国のアメリカ大使館で面接を受けるプロセスになります。僕はI-485 (Adjustment of Status)を選んだので、Consular Processにかかる日数は判りませんがI-485のプロセスにかかる時間は2ヶ月から6ヶ月と言った所でしょうか。(2013年1月現在)

以上のように、運によりプロセスのスピードが異なり、もちろん早く進む方もいますので、その場合はEB2で申請した場合、1年くらいでグリーンカード取得されるケースもあります。ですが、全体的に見てEB2での申請では2-3年かかると説明もされますし、そのように考えておいて問題が生じる事は無いように思います。

次回は、それぞれのプロセスをもう少し細かく説明していきます。


Tuesday, January 1, 2013

EB3とEB2の違い

今回はEB3とEB2の違いについて説明したいと思います。
*専門的な法律知識はないので、現時点で体験した事、調べて判った事を中心に書いて行きたいと思います。また、移民の受け入れ状況やプロセス等は変化が多く、2013年1月時点での情報になります。

応募資格の具体例
EB3(第三優先枠):4年生大学卒業者、または2年以上のトレーニングを受けた熟練労働者
一般的な例ですとアメリカの大学で学士号(BA, BS)を取得し、現在H-1Bビザの就労している方。スポンサーとなる会社が必要で、Labor Certificateを労働局から認可してもらう必要があります。Labor Certificateについては後述します。

EB2(第二優先枠):Professionals with Advanced Degree. 簡単に説明すると修士以上の学位を持つプロフェッショナルという定義になっています。一般的に、修士以上と定義されていますが、博士Ph.D.を取得されている方はEB1(第一優先枠)での申請になる事が多いと思いますので、一般的には大学院卒業(MA, MS)の方、もしくは学士の方でも5年間の専門職経験がある方。または、Persons with Excepttional Ability Benefiting US (科学、文化、ビジネスの分野で卓越した能力を持つ人で、その人の能力がアメリカの経済、文化、教育、福祉、生活などの分野で有益であると見なされる)というのがあります。

正直、最後のアメリカにとって有益という点は時代に寄っても変わりますし、判断する方次第という印象を受けます。実際、素人目にはみんなに当てはまりそうですし、皆に当てはまらなそうというのが文章を読んだときの、僕の印象です。

話を戻し、EB3とEB2についてですが、EB2の資格があるからといって、全ての人がEB2でプロセスできる訳ではなく、実際にはLabor Deportmentに提出するJob Descriptionによって決まってきます。職種、業務内容によって変わってきますし、弁護士がどのようなJob Descriptionを書くかにも左右されると思います。その辺は各々の弁護士と要相談という所でしょうか。

ちなみに、筆者がお会いした弁護士でEB3を薦めたかたが決めたJob Titleは、Public Relation Specialist.  EB2でのプロセスを薦めたかたが決めたJob Titleは、Market Research Analistでした。同じ履歴書からもかなり違った結果になりました。人によってJob Descriptionは違いますので、ここでは省略させていただきます。

EB3とEB2ですが、基本的に全体の流れは同じです。ですが、I-485をプロセスする時に違いが顕著にでてきます。。I-485とは俗にいうAdjustment of Status (AOS)です。Labor Certificateが認可された日がそれぞれの人のPriority Dateになるわけですが(Priority Dateも後に説明して行きます)。 Priority Dateを判りやすいものに言い換えるとするなら、整理券というところでしょうか。この段階になると、整理券を使える順番待ちが存在するのです。プラス、整理券の使える順番は国に寄って違ってきます。また、順番待ちが進むスピードがカレンダーと同じという訳ではありません。1ヶ月待って、1週間しか進まない事もあれば、2年進む事もあったりします。時には迷惑な話ですが、1年や2年後退することもあります。

2013年1月現在(2013年1月のVisa Bulletin参照)
I-485が提出できるPriority Date
中国の方 EB2 / 2007 Dec 08.
中国の方 EB3 / 2006 Sep 22.
インドの方 EB2 / 2004 Sep 01.
インドの方 EB3 / 2002 Nov 08.
メキシコの方 EB2 / 待ち時間ゼロ
メキシコの方 EB3 / 2007 Feb 01.
フィリピンの方 EB2 / 待ち時間ゼロ
フィリピンの方 EB3 / 2006 Aug 15

そして、それ以外の国の方(日本人はこれにあてはまります)

EB2 / 待ち時間ゼロ
EB3 / 2007 Feb 01.

以上のようになっています。例えばEB3でプロセスを開始した方のPriority Dateが2012年1月1日だったとしましょう。カレンダーの進み具合で判断すれば、5年の待ち時間になります。この、I-485を提出できる日というのが本当にコロコロと変わりますので、毎月10日前後にVisa Bulletinというサイトで毎月チェックする事をお勧めします。

2012年のEB2の例をあげると、2012年4月の段階では待ち時間ゼロだったものが5月のアップデートによって、2009 Nov15に突然なってしまいます。さらに、9月のアップデートにより2009 Jan01と10ヶ月後退してしまいました。そして、10月のアップデートにより2012 Jan 01になり3年進んだ事になります。現在は再度待ち時間ゼロに戻っています。

このように、10年以上も変化がなかったものが突然変わる事もありますし、突然提出できなくなる事もあります。EB3の方は2008年7月のアップデートによって、突然提出できなくなってしまった期間も存在します。

このアップデートは色々な調節の為起こるのでしょうが、プロセスをしている側としては、順調に進むことを待つしか出来ないので、ストレスの溜まる期間でもあります。

以上のような待ち時間を考えた時に、EB3なのかEB2なのかはとても変わってくると思います。待ち時間の間も合法のステータスを維持しなくてはいけませんし、会社が嫌になっても辞める事がなかなか出来ない場合も出てくるかもしれません。本人の将来設計や会社の状態、人間関係など変化していくものの狭間で待ち続けるのは、人にも寄りますが一種のストレスの要因にはなりうるので、慎重にプロセスを選ぶ必要があると思います。


次回は全体の流れを詳しく順を追って説明して行きたいと思います。